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真夜中、水面に月を映す湖のように
心は安寧であった
星がひょうと流るる事にも触れず
野生の者が暗い水縁で口づけているのも知らず
古い書物の一行のようにして安寧であった
そうして僕はようやく
不可視の精霊と爛熟した魔性の結合した唾液の中心から
原始の言語(ルーン)を喚びだして
パーフェクト・ワールド(完璧な世界)に自らの骨の先端で造られた筆を
ゆっくりと沈めていく
静寂が慌ただしく乱れ
水面の月を粉々に砕き散り
一隻の小舟が人ならざる人を連れて来る頃
宇宙が“さびしい”と
僕は筆とノートを放り出して
全精神の集中された呼吸で追い駆けた
野生の者が驚いて身を竦め
一つの大きな翼が飛び上がった
感覚したのはわずかにそれだけで
全てが未だ神聖なる未知の母胎の中で眠る
夜明け
倒木の枝先でズボンを裂き
息を弾ませた僕が
“さびしい”と告げるまでは
http://hp.kutikomi.net/poem22/
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