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おまえはしっているのだろうかこの路でわたしがわたしとすれちがいそのしゅんかん
にうしなわれた奇跡のことを。おともなく崩おれるわたしのからだと妻のからだが反
射した月面にすいちょくにらっかしてゆく重力のことを。えいえんのこどくを彷徨う
こともあてもなくかくしんもなくぼんやりと消費する命のことを。燃えるまちを丘の
うえからさんぜんとながめていたいつか、きょりとへいきんを求めすぎるあまりにき
ずついた女性が母でわたしは妻とこどもをだいてげつめんへと。とおい重力にひっぱ
られたままかれをいととおおおおおしく感じながらなでる、なでないのせんたくもで
きずにひっぱられて。名前を知っている?すりきらしたこの皮膚の下であかく泣いて
いるまちをながめながら。その丘につづくみちだけがわたしにもうひとりのわたしの
存在ときょうふだけをめまぐるしく回転させ、それにまきおこされたいたみもここで
平等な存在として受け入れられてしまったから、妻はくるってしまう。台所にあった
テーブルの足がすこしずつかけてゆくように世界は均等から不均等へ、いちからにへ
すこしずつ傾いてそれをあいしている彼をいととおおおおおしく感じながら、わたし
には何者もおかせない妻と子供と月面があってだからはしるのもままならずずっと床
及びそれがひろがる丘の上でずっとまちがもえひろがりかなたの山すそがこう、ぱち
ぱちとそまっていつかあの、とおい異国の火事のようにこくどの何分のいちかを焼き
払っておおい、平和がきたぞ!というのをまっている。彼がいうのをまっている血管
が伸びてゆく自由に伸びてゆく。さもしい殻が剥げてゆくさもしい膜がわたしを包む
お前はしっているのだろうかこの路でわたしがわたしとすれちがうその瞬間に失われ
た奇跡のことを。それをわたしともうひとりのわたしを名乗る彼さえも望んだことを
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